ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

アビーロードの違和感

ビートルズのアルバム、アビーロードに感じていた違和感の正体が分かった。ジョージのギターだ。アビーロードになって、ジョージのギターが格段にレベルアップしたということはよく言われていて、サムシングのギターソロがよく言及されるが、それだけではな…

日本人と幸福

幸福とは何だろうか。 アリストテレスにとって、それは、究極目的であり、生涯にわたって人としてよく生きることである。人としてよく生きるとは、動物にも植物にもない、人固有のものである理性にしたがって適切な活動をすることである。そのためには、知性…

昔からいじめはあった 『運は創るもの』

運は創るもの ―私の履歴書 作者: 似鳥昭雄 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2015/08/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「御値段以上」かと思っていたが、「お、ねだん以上」だった。そんなニトリを作り上げた社長の半生…

昔から席は譲らない 『戦中派焼け跡日記』

戦中派焼け跡日記―昭和21年 作者: 山田風太郎 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/07 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (8件) を見る 本書は、昭和21年の元旦から年末まで一年間の日記であって、当時の生の声がきける。敗戦直後の…

年末大掃除とは何なのか

京のまつりと祈り―みやこの四季をめぐる民俗 作者: 八木透 出版社/メーカー: 昭和堂 発売日: 2015/05/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書は、水と火という切り口で京の祭りを切る。 水といえば、祇園祭で、鴨川の水を神輿に振りかける神事…

なぜ日本人は風呂に石鹸をいれないのか 

折口信夫全集 (20) 民族史観における他界観念・神道宗教化の意義―神道・国学論 作者: 折口信夫 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1996/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 斎川とは、沐浴の川である。「ゆかわ」と読むらしい。「ゆ」とは、…

なぜ仏教はすたれたのか

近代化と伝統―近世仏教の変質と転換 (大系・仏教と日本人) 作者: 安丸良夫 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 1986/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る もうお経を唱えられる人はほとんどいない。そんな教育はされていない。日本は仏教国といわ…

バッハの自己満足

バッハの生涯と芸術 (岩波文庫) 作者: J.N.フォルケル,柴田治三郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1988/01/18 メディア: 文庫 クリック: 14回 この商品を含むブログ (4件) を見る 「自己満足にすぎない」とかいう。主に非難する場面で。ある人のために何…

なぜ民間医療はなくならないのか

太陽と月―古代人の宇宙観と死生観 (日本民俗文化大系) 作者: 谷川健一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1994/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る なぜ民間医療はなくならないのか ガンなどの難病にかかった時、病院の治療を拒否し、民…

なぜ日本は仏教国になったのか 『日本人の神』

日本人の神 (河出文庫) 作者: 大野晋 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2013/12/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 日本は仏教国と言われたりするが、本当だろうか。昔はそうだったのかもしれないが、今もそうだろうか。お寺はいっぱいあ…

「旧土人」の意味

「土人」の意味は、土着の人であったり、未開人・野蛮人であったりする。では、「旧土人」とはどういう意味か。まず「旧」から考えよう。昔は土人だったが、今はそうではない人という意味だろうか。「旧法」が「今は使ってない昔の法」であるように。それと…

土人の無常

むかつく人間に「土人!」と罵声を浴びせかけたりするシーンがあったりするが、「土人」とはどういう意味か。未開人・野蛮人といった感じで使われるが、もともとはその土地の人という意味だった。「〇〇地方の土人」というと、〇〇地方に住んでいる土地の人…

オスプレイは不時着したのか墜落したのか

ちゃんと定義して、定義通りに使っているなら、どっちでもいい。 しかし、オスプレイ配備の可否の根拠とするためにやっているのなら、つまり、不時着なら配備可能になり、墜落したから配備不可になるというためなら、不毛である。 墜落とか不時着の定義には…

日本人は時間に正確なんじゃない、遅刻に厳しいんだ

遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成 作者: 橋本毅彦,栗山茂久 出版社/メーカー: 三元社 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 89回 この商品を含むブログ (24件) を見る 日本人は時間に正確だという。電車はダイヤ通り正確に動くし…

言葉狩りをするものは言葉を饅頭と考えているのか

ソシュールの思想 作者: 丸山圭三郎 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1981/07/15 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 36回 この商品を含むブログ (19件) を見る 箱の中に、饅頭が詰まっているとする。饅頭を一つ取り去ると、そこに饅頭のない隙間がで…

寛容と和は、どうちがうのか

和の思想 異質のものを共存させる力 (中公新書) 作者: 長谷川櫂 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 日本の建築を見ると、西洋型の家に、畳とかが違和感なくなじんでいたりする。こういうのが…

天皇は立法者ではなく現人神

アニミズムの濃い村をみると、村の慣習を変えることは内部者にはできない。 中国雲南省のワ族には、首狩りの慣習があった。それは別に人殺しが好きだったからやっていたわけではない。焼畑農耕の豊穣を祈るために、一年のうちある期間だけ行う農耕儀礼であっ…

天皇の戦争責任論の意味

日本は、経済発展した今でもアニミズムが生き残っている。日本の信仰として生きている神道が、それを体現している。精霊・神々が存在し、霊能者シャーマンが活躍する、アニミズム的神話世界を継承している。 普通、アニミズム段階にある世界は、近代主権国家…

なぜトックはもちもちしていないのか

照葉樹林文化の道―ブータン・雲南から日本へ (NHKブックス (422)) 作者: 佐々木高明 出版社/メーカー: 日本放送出版協会 発売日: 1982/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 照葉樹林文化ではないからだ。 日本の文化、食文化を語るうえで…

会議がながいわけ 『忘れられた日本人』

忘れられた日本人 (岩波文庫) 作者: 宮本常一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/05/16 メディア: 文庫 購入: 49人 クリック: 366回 この商品を含むブログ (215件) を見る 戦後に残された伝統日本をフィールドワーク。著者は、対馬とかを旅し、村々の…

政治家は政策を勉強すべきなのか

小泉純一郎 ポピュリズムの研究―その戦略と手法 作者: 大嶽秀夫 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2006/11/01 メディア: 単行本 クリック: 24回 この商品を含むブログ (16件) を見る 政治家は政策を勉強すべきなのか。良い政策を実現するのが政治家…

「強敵」と書いて「とも」と読む文化

政敵を追い落とすと、祟りを食らうことがある。非業の死を遂げ、祟りを引き起こす魂を、平安時代あたりから怨霊と呼ぶようになった。 祟る怨霊をどうするか。名誉回復とか、お経の書写とかして、鎮魂する。菅原道真は怨霊となって、自分を大宰府に追いやった…

日本が清潔な理由、京野菜がブランド化した理由

京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書) 作者: 高橋昌明 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 日本が清潔なのは、16世紀に人糞肥料ビジネスシステムが確立したからだ。 人糞肥料ビジネスシステムが…

2009年米国トヨタリコール大騒動の原因

不具合連鎖 作者: 日経BP社トヨタリコール問題取材班 出版社/メーカー: 日経BP社 発売日: 2010/03/18 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 51回 この商品を含むブログ (2件) を見る プロの交渉術。どんな場面でも絶対負けない28の最強ノウハウ 作者: 長野…

夫婦別姓を考えるモデル

夫婦別姓について考えるにあたり、姓にかかわる社会制度を三タイプ考える。 ①氏族本位制。②家本位制。③個人本位制。 氏族本位制とは、姓が氏族名のものをいう。家本位制とは、姓が家名のものをいう。個人本位制とは、姓が個人名のものをいう。 氏族とは、血…

朝鮮を見下す文化は和の文化が一因 『王権誕生』

王権誕生 (日本の歴史) 作者: 寺沢薫 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2000/12/05 メディア: 単行本 クリック: 7回 この商品を含むブログ (4件) を見る 筆者は、邪馬台国の成立を、明治維新になぞらえる。それは、薩長土肥連合で作られた明治政府と同様な、…

欧米人を鼻差別 『ヨーロッパ人相学』

ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史 作者: 浜本隆志,柏木治,森貴史 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2008/06/23 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 15回 この商品を含むブログ (5件) を見る どんな人相がどんな人格なのか。アリストテレスから現代に…

八紘一宇の原点 『大王から天皇へ』

大王から天皇へ 日本の歴史03 (講談社学術文庫) 作者: 熊谷公男 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/12/10 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (11件) を見る 古墳時代に入って、5世紀末、ヤマトに変化があった。ヤマトの王は、中国の冊…

KARAは愛する文化 『大王から天皇へ』

大王から天皇へ 日本の歴史03 (講談社学術文庫) 作者: 熊谷公男 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2008/12/10 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (11件) を見る 本書は、4世紀から7世紀にかけての日本の歴史を描く。ヤマト朝廷は、5世紀末…

よいとかよくないとかはややこしい

日本の植民地支配はよかった、というとボコボコにされるのか。 よいとかよくないとか言うには、その判定の基準点が必要だ。 例えば、他の西洋列強のやっていた植民地支配とか、あるいは道徳とか。道徳にも色々あって、劣った民族に文明をもたらす義務がある…