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正しく考えるというのは難しい

初代皇祖神タカミムスヒ 『アマテラスの誕生』


アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る (岩波新書)アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る (岩波新書)
(2009/01/20)
溝口 睦子

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アマテラスは二代目で、初代皇祖神はタカミムスヒだった。
タカミムスヒが皇祖神になったのは高句麗に戦で負けたからだ。
高句麗に立ち向かうため、天皇は国内体制の中央集権化に取りかかった。
黒船に対し独立維持のため幕藩体制をやめて中央集権化したのと同じ話だ。
他の豪族の統率に向け、格の違いを出すためタカミムスヒと天孫降臨神話を作ったのだ。
タカミムスヒも天孫降臨神話も、北方ユーラシアの遊牧民族に由来する外来思想だという。
アマテラスが皇祖神になったのは、天武期らしい。そしてタカミムスヒは忘れられた。

日本は外来思想をよく受け入れる。
しかし、形ばかりだという指摘も多い。
仏教は葬式仏教と呼ばれ、
中国と付き合うようになって作った律令制度もすぐ形ばかりになった。
江戸時代には朱子学が幕府御用達になったが、近代化とともに捨てられた。
津田左右吉朱子学は日本に何も影響を与えなかったと言ったらしい。
タカミムスヒもそうったものの一つなのだ。

日本が外来思想を受け入れるのは、結局先進国になめられないために外面を整えるための方便なのだ。
必要なくなったら捨ててしまう。
とすると、日本は、黒船以降今に至るまで、西洋思想を受け入れ、リベラリズムや法治国・法の支配という政治思想を正統の学問としてきたが、結局これも外面を整えているだけなのかもしれない。
時代が変わり、西洋思想が不要になったら、朱子学を捨てたように、初代皇祖神を捨てたように、リベラリズムも捨ててしまうにちがいない。
イスラムが西洋キリスト教国を圧倒したら、日本はイスラム教を受け入れるだろう。女性の間では蒸し暑い真夏でも顔を布で覆うイスラムファッションが隆盛を極めるにちがいない。イスラムの力が弱まるまでは。