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ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

バイリンガルはどのように考えるのか 『ことばと思考』

ことばと思考 (岩波新書)

ことばと思考 (岩波新書)

 

ものを考えるとき、言葉で考えている。ということは、言葉がかわれば思考も変わるのか。言葉はどのように思考に影響を与えているのだろうか。

本書は、日本語と英語といった言語の違いが思考にどのように影響を与えているかを考え、そのための数々の調査や実験を紹介している。

まず、言語ごとに概念枠組みが異なる。色の例を挙げ、色の区切り方が言語によって異なることを指摘する。鈴木孝夫の本を引いて、イギリス人にとっては薄茶色も「オレンジ」だという例を挙げている。

異なっているのは、単に区切り方だけではない。可算名詞と不可算名詞の区別がある言語と、その区別がない言語とで、ものの考え方に違いが出る。次のような実験をしている。木くずをU字型にそろえたものを見せ、次に、木くずの山と、木くずではないものをU字型にそろえたものを見せる。そして、どちらが最初に見せたものと同じものかと質問し、素材が同じものを選ぶのか、形が同じものを選ぶのかを調べるのである。日本人はほとんどが素材が同じものを選び、アメリカ人は半々だった。可算名詞として受け取るか、不可算名詞として受け取るかの違いらしい。可算名詞として受け取ると形に注目し、不可算名詞として受け取ると素材に注目するようになるのだ。

では、異なる言語を使うと、異なる考え方をし、異なる結論が出てくるとすると、バイリンガルの場合どうなるのか。著者は、バイリンガルを、一方の言語が得意であるものと、得意不得意なく同じように使えるものの二種に分け、前者は、得意な方の言語で考えており、後者は、どちらの言語とも異なる言葉の使い方をすると言う。独自の枠組みを自分で構築しているということのようだ。

とすると、子供のうちに外国語を習わせるのに賛成か反対かの問題があるが、欠点として言えそうなのは、概念枠組みの形成に混乱が生じるかもしれないということだ。自分独自の枠組みを作ってしまうと誤解が生じやすくなるのではないだろうか。でも、多少混乱しても修正すればいいともいえる。本人がズレに気づけば修正するだろう。気づかなければそのままだ。結局、本人の頭がいいかどうかにかかってるのだろうか。