ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

JR、JP、TPP 『自由主義的改革の時代』

 

もはや現代の政治を考えるのに保革対立という図式は使えなくなっているのだが、それはいつからか。それが露呈したのは、国鉄民営化であろう。中曽根が国鉄民営化を推し進め、それに対して、国鉄労働組合国労)が対抗した闘争である。

 

国労は、社会党の強力な支持団体で、選挙では組合員に動員をかけるなどしていた。また、社会主義革命など、強力な政治イデオロギーを掲げ、資本主義を打倒せよなどと、社会党を突き上げてもいた。

 

そんな国労は、国鉄民営化に対して、打倒資本主義とか、軍拡反対を売りにして戦った。つまり、平和勢力vs中曽根軍拡路線である。国鉄民営化の本音は軍国主義者が平和勢力をつぶすことにあるのだとする。昔ながらの自民党vs社会党の保革対立そのものである。

 

しかし、マスコミのとらえ方は違った。マスコミは利権としてとらえた。国鉄民営化に反対する者は、既得権益の擁護者だという論法だ。特に国鉄は、サービスが悪く、ちょっと前にはスト権ストなるものをやったりして、消費者としての国民の評判を落としていた。サービス向上のため国営というだらけた環境をつぶせという主張だ。

 

そんな中で、国労の一般の組合員は、反軍拡とか社会主義革命といったお題目にはついていけず、民営化されてクビになったら大変だとどんどん脱退していった。最終的に国労は分裂し、全く力を失ってしまった。

 

ということで、国鉄民営化とは、保革対立という戦法が通用せず、利権打破という構図で押し切られてたものなのであった。ただ、政党対立という面では、従来通り自民党vs社会党という保革対立だ。社会党の支持基盤がそぎ落とされ弱体化したのだ。つまり、政策的には保革対立はなく、政党対立的には保革対立なのだった。

 

ちなみに後の世になって行われた民営化である郵政民営化では、平和vs軍国とか、資本主義vs社会主義などという対立構図は出てきていない。また、この民営化は、衆議院解散まで起こるごたごた劇だったが、そんなことになったのは、郵便局の労働組合が自民党の支持団体であり、自民党内で民営化反対論が消えなかったからである。自民党内の対立であり、野党は全く蚊帳の外であった。社会党はすでになく、政党対立という面でも保革対立は消え去ったのであった。

 

ついでにTPPで問題になってる農業分野だが、農協は自民の支持団体だ。生じているのは郵政と同じく自民内対立である。これについては今回も野党は蚊帳の外のようにみえる。