ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

カローラの原点回帰 『2013年版間違いだらけのクルマ選び』

2013年版 間違いだらけのクルマ選び

2013年版 間違いだらけのクルマ選び

 

本書は、2011年12月に出たので、2011年のクルマ界の状況が書かれている。超円高で大変とか、フォルクスワーゲンがすごいとか。

 

一つのトピックは、カローラのモデルチェンジだ。だが、著者らは、この新型カローラをぼろかすに批判する。何もかもがチープ、安い割によいクルマ路線でずっと来た成れの果て、ユーザーの声を聞いた気になってるだけでカローラのあるべき姿をまるで追及していない、などなど。トヨタ社内でも問題になってるらしい。

 

トヨタは、2000年前後に、コロナとかマークⅡとか、昔からの伝統のブランドを捨てたのだが、その中で残したのが、クラウンとカローラだ。これらについてはブランドを復活させることにしたのだろう。しかし、クラウンはともかく、カローラの失墜は止まらない。もうカローラも捨てちまおうかと考えてるのかもしれない。

 

そもそもカローラというのは、ハレとケでいえば100%ケのクルマだ。完全に日常生活で使うクルマだ。高級フランス料理でもなければ、バーベキューでもない。白いご飯だ。しかし、どうもそれが行き過ぎて、120%ケになってしまった。これはもう枯れてしまった状態。ケガレである。病院食に等しい。

 

病院食から日常食に戻さなければならない。しかし、それはCMにジャニーズを起用することではない。キムタクのファンが勢い余ってカローラを買うのだろうか?買うかもしれないが、そもそもジャニーズはハレの世界の住人じゃないのか。とびすぎである。

 

ケガレ状態で、そばにいる人をド日常に埋没させてしまう今の状況からは脱しなければならないが、かといって、カローラが日常の世界から出ることは決してない。日常を出ない、日常の中なのだが、日常生活を枯れさせるのではなく、それに生気を、彩りを与えるようにならないといけないのだ。まさにミスチルの彩りだ。日常に彩りを加える、ただいま、おかえり、というやつだ。だから、CMソングもミスチルの彩りだ。

 

起用するタレントも彩つながりで、上戸彩だ。結婚したことだし、落ち着き感を増してもらえばいい感じになるのではないか。非日常へ飛んでいくことなく、彩りのある、しかも、毎日見てもうざがられない感じ。むしろ、上戸彩がともに生活して違和感のないクルマにしなければならない。上戸彩がカローラのベンチマークだ。

 

そして、病院食から脱し、彩りを与える存在になるために、カローラは原点に戻らなければならない。この点からいって、この8月にカローラのハイブリッド版を出したのは素晴らしいことだ。カローラの原点とは何か。+100ccだ。カローラは+100ccでデビューした。この一つのアクセント、スパイスがあることで、白いご飯が何杯でも食えるようになる。ハイブリッドは、この+100ccだ。ハイブリッド版は、カローラの原点回帰と言っていい。この原点回帰を確実なものとするために、他のクルマをハイブリッド化するのはしばらくやめるべきだ。