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正しく考えるというのは難しい

強いと勝つ~横綱を超える宮本武蔵~ 『勝ち続ける意志力』

 

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

 

 

 

勝ち続けるとは、一敗もしないということではない。勝っても負けても動じず、コンスタントに勝ちを重ねていくことだ。格闘ゲームの達人である著者が求めているのは、不変の強さである。使うキャラクターが変わっても、ゲームが変わっても、何をやっても強いというものだ。

 

必殺技のようなものには頼らない。得意のキャラクターの得意の技で勝っても意味はない。あるゲームに特殊の技にたよっても、そのゲームでしか通用しない狭いものだから。相手の弱点を突くことはしない。強さにつながらないから。奇襲はしない。相手を弱くしても自分は強くならないから。そもそも勝ちに執着しない。成長しないから。勝負の質にこだわる。その結果として勝率が上がるのだ。

 

要は、強いと勝つは別なのだ。強ければ必ず勝つかといえばそうではない。勝つなら強いかというとそうでもない。著者が求めているのは、強さなのだ。強いと、勝率は上がるだろうし、勝ち続けることができるだろう。しかし、必ず勝つとか、無敗だとかいうことにはならない。負けることがあることは当然の前提で、むしろ負けても調子を崩したりしないメンタルを持つことが強いのだ。

 

このような態度は、勝負の質にこだわる横綱相撲に通じるかもしれない。何よりも強い相撲を見せねばならない。奇襲は使わず、全力の実力を出し切った相手を、圧倒的な力量差で負かす。反面、負けてもいいということでもある。変な相撲を取るくらいなら負けた方がいいのだ。

 

では、絶対に負けられない状況に立たされた時にはどうするのか。横綱相撲は取れるのか。負ける可能性があるのに。

 

強いと評判の宮本武蔵は卑怯な手を使っていたとしても評判である。宮本武蔵は負けたら終わりの世界に生きていたのかもしれない。それでいて武蔵が本当に強かったのなら、武蔵は強い且つ勝つの境地に立っていたにちがいない。