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ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

法人税減税の前に 『源泉徴収と年末調整』

 

源泉徴収と年末調整―納税者の意識を変えられるか (中公新書)

源泉徴収と年末調整―納税者の意識を変えられるか (中公新書)

 

 

日本では、1940年に源泉徴収制度が始まった。戦争に際し、より効率よく税収をアップさせる方策が試されたのだ。開始当初は、源泉徴収義務者は、請求すれば一人当たり50銭の交付金がもらえた。源泉徴収義務者とは、従業員の所得税とかを集めて税務署に払う会社などである。交付金とは、源泉徴収の手数料である。徴税代行をしているのだからその対価である。しかし、交付金制度はしばらくしたらなくなってしまった。にもかかわらず、47年には年末調整も始り、会社の手間はさらに増えることになった。そして、今に至るまで、徴税代行料は支払われないまま、会社はただ働きを強いられている。

この制度は、日本社会の工業化とともに存在意義を増していく。会社共同体が形成されていく流れにうまく沿っていた。会社共同体は家族ぐるみで会社とかかわりを持つのだが、その家族の情報は、年末調整の必要から勝手に集まってくる。控除のため会社に家族の情報が集まらざるを得ないのだ。こうして、自然と会社共同体は強化されていく。そういう意味では、源泉徴収年末調整制度は、会社にもメリットのあるものだったのかもしれない。

反発もあった。50年代に源泉徴収制度は違憲だとして訴訟が起こされたりした。これに対して国税庁は、優良源泉徴収義務者の表彰で対抗する。55年と60年だ。これが大きな効果を発揮した。会社の経理が悪者ではなくなったという。それまで税務署の回し者と言われていたのに。もうだれもこの制度に文句を言わなくなった。

最近、日本企業の6重苦とか、アベノミクス成長戦略法人税は下げる、とか言われている。6重苦とは震災後、安倍政権が始まる前に言われ始めただろうか。①円高、②TPP、③法人税、④労働規制、⑤環境規制、⑥電力不足だ。しかし、法人税云々の前に、企業の源泉徴収・年末調整コストも結構なものだ。7重苦にすればいいのに。これをなくせば企業の負担が減って、ちょっとぐらい元気が出るんじゃないか。昨今では税金のソフトもあって計算が楽になったからさほどでもないのだろうか。でも代行料くらいは払ったらいいのに。

終身雇用の会社共同体時代は終わったようだし、だとすると、会社の源泉徴収年末調整のメリットもなくなってきてるから、もうそろそろ嫌なんだけどといいだすにちがいない。