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ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

クラリスのことば 『驚くべき日本語』

 

驚くべき日本語 (知のトレッキング叢書)

驚くべき日本語 (知のトレッキング叢書)

 

 日本語は世界語になるんじゃないか、というのが筆者の意見。英語よりかんたんだし。単語少ないし。漢字は難しいけど。

ともかく、日本語に柔軟性があり、語彙が少ないのに微妙なニュアンスを簡単に表現できるという。

そんな微妙な言葉の一つが「さん」。田中さんとか。英語で言えば、ミスターなどにあたる。基本、敬意を表す。しかし、それだけでなく、親しみ、感謝といったものまで表現できる。「学生さん」「かみさん」とか。

さらに、当人との関係だけでなく、話し手と話し相手との関係もわかってくる。親しい間柄でないど、「かみさん」という言葉はなかなか出てこない。

こういう「さん」は、翻訳が難しいという。女性によく見られるが、ともだちも、さんづけで呼ぶ。井上ひさしの戯曲を訳すとき、登場人物が女友達のことを苗字に「さん」をつけて呼んでいた。しかし、英語では親しくなった人は、呼び捨てで呼ぶ。名前が分からない。しょうがないので、勝手に名前を付けたという。

さらにユニークなものとして、「どろぼうさん」を挙げる。この「さん」は敬意ではないだろうが、親しみを感じさせるね、という。「どろぼうさん」といえばクラリスだが、丁寧な振る舞いで自己紹介してきたルパンへの言葉だから、この場合は、一種の敬意が入っているのかもしれない。それに、呼び捨てにすると、自分が乱暴な言葉遣いをする粗野な人間のようになってしまうので、上品なクラリスがあのシーンで呼び捨てにするのはあり得ない。新聞やテレビの報道で、どんなに悪そうな奴にも呼び捨てにせず「被告」をつけたりするのは、たぶんしゃべってるアナウンサーが粗野な人間に映りかねないからにちがいない。

ともかく、「どろぼうさん」は全然翻訳できないようだ。
http://s.webry.info/sp/world-manga.at.webry.info/201205/article_3.html