ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

欧米人を鼻差別 『ヨーロッパ人相学』

 

ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史

ヨーロッパ人相学―顔が語る西洋文化史

 

 

どんな人相がどんな人格なのか。アリストテレスから現代に至るまで、人相と人格の関係は、どのように理解されてきたのか。

こういった人相は、こういった人格。ゆえに犯罪者になる傾向が強いとか。人相と人格の結びつけは、容易に差別に結びついた。昨今、人相学が流行らない原因の一つらしい。

ユダヤ人差別も、人相という観点から捉える。

例えば、19世紀には進化論的色彩をもった人種差別があって、それは、進化論的に、アジア人は白人とちがって未発達で、猿・類人猿に近いというものであるが、白人であるユダヤ人も、退化して猿・類人猿に近いとされた。風刺画などで猿顔に描かれていたりする。

古くから、風刺画などに描かれるユダヤ人には定型があるらしい。ユダヤ帽、服につけたローテラという車輪型マーク、髭、鉤鼻、偏平足といったものだ。

中でも鼻は、感情表現力の強い器官で、一般に、強情、卑劣、強欲といった性向を表すという。鼻を誇張するだけで滑稽で野卑な印象を与えることができる。風刺画家は、鼻をデフォルメすることで、ユダヤ人の内面を描き出したという。確かに、鉤鼻は、魔女の鼻だったりする。

欧米では、正面顔だけの日本と違って、横顔が重視されるらしい。だから、鼻がより目立つ重要な部位となる。こういったこともあって、侮蔑するのに、鼻のデフォルメがなされやすくなる。

とすると、欧米人をデフォルメするとき、鼻には気をつけなければいけない。欧米人をデフォルメして高い鼻に描くと、不快に感じる欧米人がいるという。デフォルメ自体が不快感を与え得ることはおいといて、これには、欧米の鼻文化が影響しているのかもしれない。細かいこと言えば、高さよりも形が問題なのかもしれない。

高い鼻に憧れるだけの日本の鼻文化とちがって、欧米の鼻文化はより複雑なのかもしれない。

日本の鼻文化が本当に高いに憧れるだけなのかは知らない。