ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

夫婦別姓を考えるモデル

夫婦別姓について考えるにあたり、姓にかかわる社会制度を三タイプ考える。

①氏族本位制。②家本位制。③個人本位制。

氏族本位制とは、姓が氏族名のものをいう。家本位制とは、姓が家名のものをいう。個人本位制とは、姓が個人名のものをいう。

氏族とは、血縁集団である。この集団の名が、氏族名という団体名である。個人が、ある氏族名を名乗ることは、その個人は、その氏族に所属していることを意味する。
家は、婚姻両当事者から成る団体である。この団体の名が家名である。個人が家名を名乗ることは、その個人が、その家に所属していることを意味する。婚姻両当事者は同じ家名を名乗ることになる。

婚姻両当事者が、異なる氏族出身であるとする。この時、婚姻両当事者各々の出身氏族所属のまま変わらない場合と、どちらかに転属する場合、新しい氏族を作る場合がある。一番目の場合、婚姻両当事者は、異なる氏族名を名乗り続ける。二番目であれば、転属する者が氏族名を変え、婚姻両当事者は、同じ氏族名を名乗ることになる。三番目は両者新しい氏族名を名乗ることになる。

子ができた時、その子の所属はどうなるのか。一番目の場合、両属しないのであれば、所属する方の氏族名を名乗ることになる。片親と同じ氏族名、もう一方とは異なる氏族名になる。両属するのであれば、二つの氏族名を名乗ることになる。二番目の場合、子の所属先は自明であり、親と子は同じ氏族名となる。三番目の場合も、親と子で同じ氏族名となる。

家と氏族の関係はどうか。婚姻当事者が氏族から独立しないとき、家は、婚姻当事者の所属氏族の構成団体となる。婚姻当事者の一方が転属し同じ氏族となっている場合は、家は、その氏族の構成団体となる。転属しない場合、家は、各々の氏族に両属するか、どちらか一方の氏族に属することになる。婚姻当事者が氏族から独立するなら、独立氏族下の家ということになる。
家名と氏族名は別のものである。家名を支配氏族名と同じにしてもよいし、しなくてもよい。

婚姻により新しく家を作るとき、婚姻者の出身家と新家の関係は、独立である。自由に新家の名をつけることができる。婚姻両当事者の出身家の家名を踏襲することもできる。その場合、複数の家名を持つことができれば、各々の家名を踏襲できる。できないのであれば、どちらかを選ぶことになる。

氏族本位制では、姓は、氏族名である。転属しない場合、夫婦別姓となる。家名と姓に、特段の関係はない。家名が設定されなくても、姓にとって特段の問題はない。家というものを特に意識する必要もない。
家本位制では、姓は、家名である。夫婦同姓となる。加えてその子も同姓となる。複数家名が可能であるなら複数の姓を同時に持つことができる。その場合も、家の構成員は同じ姓を持つことに変わらない。
個人本位制では、姓は個人名となる。団体名として観念できない。当然、夫婦同姓になるわけではない。子の姓が親と同じである必要もない。