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正しく考えるというのは難しい

南京大虐殺は酒池肉林 『殷』

 

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

殷 - 中国史最古の王朝 (中公新書)

 

 史記とかに書かれている殷の歴史は、その時代が終わってかなりの年月が経った後に書かれたもので、いろいろ脚色もあって信用できない。ということで、本書は、殷の歴史を、甲骨文字の解読をもとに明らかにしていく。

殷は、紀元前16世紀に建国され、紀元前14世紀ごろに分裂状態に入り、紀元前13世紀にふたたび統合され、しばらく平和に栄えたが、外国からの攻撃が増加し、それに対応するために集権化を進めたものの、それが殷に服属していた者たちの不満が増す結果となり、反乱が増え、それに対処していたが最終的に紀元前11世紀、服属勢力の一つ、周に倒された。

史記には、殷が滅亡したのは紂王が酒池肉林とかで堕落したからというような書きぶりになっているが、甲骨文字を見る限り、紂王は、軍事教練とかに忙しく、酒池肉林している暇などなかったという。それはクーデター政権である周の正統性をアピールするための作り話だという。周自体は、殷の領主やら臣下やらみんなが酒におぼれたから天命を失ったと言っていた。春秋時代になって紂王のみに責を帰す文献が現れたという。

ということは、南京大虐殺30万人が、当時南京には20万人ほどしかいなかったのであり得ないとすると、それを知った上で中国共産党が30万人を主張するとすれば、たぶん酒池肉林を主張したいからにちがいない。当初は日本に対し優位に立てる単なる外交上の武器だったのかもしれないが、中国共産党政権正当化のための酒池肉林に格上げされたにちがいない。

史記に酒池肉林が記載されたように、後代の中国の歴史書には南京大虐殺が記載されることになるだろう。そして、殷が悪いという内容から、紂王個人が悪いに変化したことからみて、南京大虐殺も日本が悪いという内容から、特定責任者が明示化されることになるだろう。