ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

年末大掃除とは何なのか

 

京のまつりと祈り―みやこの四季をめぐる民俗

京のまつりと祈り―みやこの四季をめぐる民俗

 

 本書は、水と火という切り口で京の祭りを切る。

水といえば、祇園祭で、鴨川の水を神輿に振りかける神事がある。これによって鴨川の神を神輿に乗り移らせたりする。山鉾巡行ばかりが目立つが、この祭りは御霊会なので、その点でいえばこっちの方が大事だ。御霊会とは、疫病なんかの原因となる御霊を都の外へ送り出す祭り。御霊を川にながしているのだ。

火といえば、五山の送り火で、お盆にあの世から戻ってきた先祖を供養し、あの世へ送る行事が華美になったものだ。冬には、霜月祭という、火をたく祭りが行われる。御火焚とか大根焚とかの霜月の行事で、冬至というエネルギー枯渇の時期に神を迎え、火によって再活性化を図るのが原型らしい。霜月に冬至があるのは、旧暦だからだ。

では、次の師走は、何なのかというと、この月は、大祓の月で、心身・家屋・生活空間に染み付いた罪・ケガレ・厄を祓い清め、世界を更新する月だ。奈良平安期には、年末なんかに罪を悔い改め災を祓う仏名会が行われ、奈良京都の導師がこの儀式を行うために東奔西走したから師走となったらしい。この月の大掃除は、大祓なのだ。