ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

クールジャパン

日本人と幸福

幸福とは何だろうか。 アリストテレスにとって、それは、究極目的であり、生涯にわたって人としてよく生きることである。人としてよく生きるとは、動物にも植物にもない、人固有のものである理性にしたがって適切な活動をすることである。そのためには、知性…

昔からいじめはあった 『運は創るもの』

運は創るもの ―私の履歴書 作者: 似鳥昭雄 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2015/08/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 「御値段以上」かと思っていたが、「お、ねだん以上」だった。そんなニトリを作り上げた社長の半生…

昔から席は譲らない 『戦中派焼け跡日記』

戦中派焼け跡日記―昭和21年 作者: 山田風太郎 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2002/07 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (8件) を見る 本書は、昭和21年の元旦から年末まで一年間の日記であって、当時の生の声がきける。敗戦直後の…

年末大掃除とは何なのか

京のまつりと祈り―みやこの四季をめぐる民俗 作者: 八木透 出版社/メーカー: 昭和堂 発売日: 2015/05/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 本書は、水と火という切り口で京の祭りを切る。 水といえば、祇園祭で、鴨川の水を神輿に振りかける神事…

なぜ日本人は風呂に石鹸をいれないのか 

折口信夫全集 (20) 民族史観における他界観念・神道宗教化の意義―神道・国学論 作者: 折口信夫 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1996/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 斎川とは、沐浴の川である。「ゆかわ」と読むらしい。「ゆ」とは、…

なぜ仏教はすたれたのか

近代化と伝統―近世仏教の変質と転換 (大系・仏教と日本人) 作者: 安丸良夫 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 1986/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る もうお経を唱えられる人はほとんどいない。そんな教育はされていない。日本は仏教国といわ…

なぜ民間医療はなくならないのか

太陽と月―古代人の宇宙観と死生観 (日本民俗文化大系) 作者: 谷川健一 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1994/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る なぜ民間医療はなくならないのか ガンなどの難病にかかった時、病院の治療を拒否し、民…

なぜ日本は仏教国になったのか 『日本人の神』

日本人の神 (河出文庫) 作者: 大野晋 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2013/12/06 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 日本は仏教国と言われたりするが、本当だろうか。昔はそうだったのかもしれないが、今もそうだろうか。お寺はいっぱいあ…

日本人は時間に正確なんじゃない、遅刻に厳しいんだ

遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成 作者: 橋本毅彦,栗山茂久 出版社/メーカー: 三元社 発売日: 2001/08 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 89回 この商品を含むブログ (24件) を見る 日本人は時間に正確だという。電車はダイヤ通り正確に動くし…

天皇は立法者ではなく現人神

アニミズムの濃い村をみると、村の慣習を変えることは内部者にはできない。 中国雲南省のワ族には、首狩りの慣習があった。それは別に人殺しが好きだったからやっていたわけではない。焼畑農耕の豊穣を祈るために、一年のうちある期間だけ行う農耕儀礼であっ…

天皇の戦争責任論の意味

日本は、経済発展した今でもアニミズムが生き残っている。日本の信仰として生きている神道が、それを体現している。精霊・神々が存在し、霊能者シャーマンが活躍する、アニミズム的神話世界を継承している。 普通、アニミズム段階にある世界は、近代主権国家…

なぜトックはもちもちしていないのか

照葉樹林文化の道―ブータン・雲南から日本へ (NHKブックス (422)) 作者: 佐々木高明 出版社/メーカー: 日本放送出版協会 発売日: 1982/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 照葉樹林文化ではないからだ。 日本の文化、食文化を語るうえで…

会議がながいわけ 『忘れられた日本人』

忘れられた日本人 (岩波文庫) 作者: 宮本常一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/05/16 メディア: 文庫 購入: 49人 クリック: 366回 この商品を含むブログ (215件) を見る 戦後に残された伝統日本をフィールドワーク。著者は、対馬とかを旅し、村々の…

「強敵」と書いて「とも」と読む文化

政敵を追い落とすと、祟りを食らうことがある。非業の死を遂げ、祟りを引き起こす魂を、平安時代あたりから怨霊と呼ぶようになった。 祟る怨霊をどうするか。名誉回復とか、お経の書写とかして、鎮魂する。菅原道真は怨霊となって、自分を大宰府に追いやった…

日本が清潔な理由、京野菜がブランド化した理由

京都〈千年の都〉の歴史 (岩波新書) 作者: 高橋昌明 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2014/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る 日本が清潔なのは、16世紀に人糞肥料ビジネスシステムが確立したからだ。 人糞肥料ビジネスシステムが…

パラサイトはどっちが悪いのか 『大国主の神話』

大国主の神話 出雲神話と弥生時代の祭り 作者: 吉田敦彦 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2012/01/25 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 本書は、大国主神と少彦名神の謎に迫る。大国主とは、出雲の神様で、天孫が降りてくるまで…

日本の美は様式美とする 『イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る 雇用400万人、GDP8パーセント成長への提言 (講談社+α新書) 作者: デービッド・アトキンソン 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/10/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る ゴールドマンサックスと…

どれだけ穢れがきらいなのか 『古事記』

新版 古事記 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) 作者: 中村啓信 出版社/メーカー: 角川学芸出版 発売日: 2009/09/25 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 10回 この商品を含むブログ (12件) を見る 神さまが活躍する古事記には、古き日本の文化が描かれている…

豚なき世界 『古事記の起源』

古事記の起源―新しい古代像をもとめて (中公新書) 作者: 工藤隆 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2006/12 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 3回 この商品を含むブログ (10件) を見る 中国では、猪年ではなく豚年である。十二支の本家は中国だから…

なぜ飲酒運転はよいのか

『古事記誕生』 他の国ではそうでもないらしいが、日本では酒に酔った上での粗相は大目に見られる。 昔からそのようだ。戦国時代に日本に来たルイス・フロイスは、西洋人は酒に酔うことは恥辱なのに、日本人は誇りにしよると書いた。 そして、それは、古事記…

男尊女卑の起源は仏教 『神道とは何か』

神道とは何か - 神と仏の日本史 (中公新書) 作者: 伊藤聡 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2012/04/24 メディア: 新書 クリック: 16回 この商品を含むブログ (7件) を見る 神道は、大昔の自然崇拝から、仏教が入ってきて神仏習合が起こり、明治維新ご…

ノマドと中国とクールジャパン 『遊牧民から見た世界史』

遊牧民から見た世界史―民族も国境もこえて (日経ビジネス人文庫) 作者: 杉山正明 出版社/メーカー: 日本経済新聞社 発売日: 2003/01 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 64回 この商品を含むブログ (19件) を見る もう言わなくなっただろうか。ひところノマ…

クールジャパンの再定位2 『言霊とは何か』

言霊とは何か - 古代日本人の信仰を読み解く (中公新書) 作者: 佐佐木隆 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/08/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 言霊を、言葉自体が持つ霊力と考えるのは、幕末とか明治ころから広まった国粋…

クールジャパンの再定位 『小泉純一郎 ポピュリスムの研究』

小泉純一郎 ポピュリズムの研究―その戦略と手法 作者: 大嶽秀夫 出版社/メーカー: 東洋経済新報社 発売日: 2006/11 メディア: 単行本 クリック: 24回 この商品を含むブログ (16件) を見る 小泉は自民党をぶっ壊すと言って、党内反対派をばっさばっさ切り捨て…

かわいい化する日本 『間違えっぱなしのクルマ選び〈2005年版〉』

間違えっぱなしのクルマ選び〈2005年版〉作者: 清水草一,テリー伊藤出版社/メーカー: ロコモーションパブリッシング発売日: 2005/04/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 本書は、著者らが独特の価…

残虐の文化:南極物語、かわいそうな象、安楽死 『言葉でたたかう技術』

言葉でたたかう技術作者: 加藤 恭子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/12/07メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 9人 クリック: 67回この商品を含むブログ (15件) を見る 金のない中アメリカへ行き、メイドやらなんやらを続けながら勉強を続けたとい…