ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

天皇

天皇は立法者ではなく現人神

アニミズムの濃い村をみると、村の慣習を変えることは内部者にはできない。 中国雲南省のワ族には、首狩りの慣習があった。それは別に人殺しが好きだったからやっていたわけではない。焼畑農耕の豊穣を祈るために、一年のうちある期間だけ行う農耕儀礼であっ…

天皇の戦争責任論の意味

日本は、経済発展した今でもアニミズムが生き残っている。日本の信仰として生きている神道が、それを体現している。精霊・神々が存在し、霊能者シャーマンが活躍する、アニミズム的神話世界を継承している。 普通、アニミズム段階にある世界は、近代主権国家…

社会契約は現人神 『日本の神々』

日本の神々 (中公新書 (372)) 作者: 松前健 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 1974/09 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 古事記とか日本書紀には神話が描かれている。そういった書物に描かれている神話は、その書物を作った者の操作…

象徴天皇制はいつできたのか 『神々の体系』

神々の体系 ──深層文化の試掘 中公新書 作者: 上山春平 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/11/08 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 古事記を天皇家権威向上目的の書としてみるのが津田左右吉だが、そうではなく藤原氏権威向上目的な…

天皇が伏見の酒を旨くする 『士魂商才』

士魂商才 : 続・酒通入門 宇治田福時著 玉乃光を率いる筆者は、伝統文化としての日本酒を復興させようとしている。そのためには伝統文化を知る必要がある。日本の伝統文化なのだから、まず日本を愛する愛国心を持っていなければ、それがわかるはずもない。そ…

クールジャパンの再定位2 『言霊とは何か』

言霊とは何か - 古代日本人の信仰を読み解く (中公新書) 作者: 佐佐木隆 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/08/25 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 言霊を、言葉自体が持つ霊力と考えるのは、幕末とか明治ころから広まった国粋…

「たらちね」は垂れ乳ではない 『古代日本の月信仰と再生思想』

[asin:486182205X:detail] 本書は、元来日本にあったのは太陽信仰ではなく月信仰だとし、日本の神話や文化を太陽信仰の観点から解釈しようとする者を太陽信仰至上主義と言って切って捨てる。 もともと海洋民族だったことからしても太陽よりも月なのだ。海の…

記紀神話を超える 『古墳時代の埋葬原理と親族構造』

古墳時代の埋葬原理と親族構造作者: 清家章出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2010/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 日本の文化に興味を持つ者として、男尊女卑とか男系女系には関心が向いてしまう。 本書は、古墳の調査を通じて、当…

初代皇祖神タカミムスヒ 『アマテラスの誕生』

アマテラスの誕生―古代王権の源流を探る (岩波新書)(2009/01/20)溝口 睦子商品詳細を見る アマテラスは二代目で、初代皇祖神はタカミムスヒだった。 タカミムスヒが皇祖神になったのは高句麗に戦で負けたからだ。 高句麗に立ち向かうため、天皇は国内体制の…