- 作者: 清水草一,テリー伊藤
- 出版社/メーカー: ロコモーションパブリッシング
- 発売日: 2005/04/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書は、著者らが独特の価値観から個々のクルマを評価していく。2005年の書でリーマンショック前の絶頂期。中国のクルマ需要が高まってはいたものの、基本的にみんなアメリカを向いてクルマを作ってた時期だ。
その中で、著者のひとりテリー伊藤は、ムーブラテというダイハツのクルマを、ハローキティやフィギュアに代表されるような、日本独自のかわいい文化の旗手と位置づけ、こういったものがある日世界へ出ていくんじゃないかと言う。(かたやもう一人の著者清水草一は強い嫌悪感を示しているが)
このクルマは当初こそは売れたのだが、すぐに失速し、リーマンショックを受け整理されてしまった。かわいさを前面に出しすぎたのだろうか。これまでも、かわいいといえるクルマはあったが人気が出たのは、もう少し抑えたシックな感じのクルマだ。例えば、ミニとか。
その後ダイハツが出したムーヴコンテとミラココアは、少し抑えたかわいい系かなと思う。これらは、けっこうコンスタントに売れ続けているようにみえる。押し出しの強いのはウケないようだ。確かに、よくあるかわいいものはノベルティはじめ小物だ。クルマのように大きいものは抑えた方がよいのかもしれない。ムーヴラテのようにかわいいかぶき者のようなのは、需要層が限られるだろう。
日本で商売する限り、かわいい路線をやめるわけにはいかない。クルマの需要減が進む時代の中で、女性を取り込まねばならないからだ。昔と違って女性は普通に運転する。また、どの車を買うか決定権を持っているのは女性だったりする。さじ加減は難しいとしても、かわいいからの撤退などあり得ないのだ。
世界的に見て高級車のカジュアル化が進んでいるといわれる。その点、日本車はカジュアルというものが苦手のような気がする。どうもマンガっぽくなってしまう印象だ。しかし、かわいい化は得意だ。ラテは行き過ぎたかもしれないが、コンテもココアも、以前に比べかわいい度は着実に上がっている。
外国にどのようなかわいいが受けるのかはわからないが、TPPのついでに各国で受けるかわいいクルマを生み出してほしいものだ。単に品質が良いとかいう以外に、日本の文化を感じられるクルマになるはずだ。
女性のクルマへの進出が進むのだから、かわいい化は、自然と、交通インフラにも及ぶだろう。信号機も踏切も、道路標識も、照明も、ガードレールもどんどんかわいくなっていくにちがいない。