ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

日本人は時間に正確なんじゃない、遅刻に厳しいんだ

 

遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成

遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成

 

 

日本人は時間に正確だという。電車はダイヤ通り正確に動くし、会社に遅れる者もない。しかし、仕事を終える段になると、まったく時間を守らない。日本人は本当に時間に正確なんだろうか。

実は日本人ももともとは時間にルーズで、お雇い外国人をあきれさせていた。納期遅れは普通だし、職場にやってこないサボリ職人は多かった。

そこで、近代化には時間規律が必要ということで、時間教育が始まった。工場では欧米の近代労働の導入が試みられ、一般に向けても、時の記念日が制定され、無遅刻無欠勤運動がすすめられることになる。

生産現場では、テイラーの科学的管理法の移入が始まった。導入者の一人、伍堂卓雄は、欧米人の働き方はメリハリがきいていて、働くときにはわき目も降らず働き休むときは十分休養するのに対して、日本人は始め終わりがだらだらだと言う。これを改善するため遅刻したら減給するなど様々な手立てが打たれることになる。

学校でも時間規律教育が行われた。小学生徒心得には、授業の十分前には登校せよと書かれ、尋常小学校修身書には遅刻はよからぬことなりと書かれた。

どうやら、日本人の倫理観に埋め込まれたのは、西洋型のメリハリ型時間規律ではなく、遅刻はいかんというものだったようだ。

始業時刻に遅れないのは、遅れると遅刻だからだ。
電車が時間通りに動くのは、遅く到着するのは遅刻だからだ。
終業時刻を過ぎても仕事しているのは、別に遅刻ではないからだ。

無遅刻無欠勤以外においては、日本古来のだらだらが発揮される。だらだら文化の上に「遅刻はいかん」が乗っかったのが、現在の日本の時間規律である。

ということならは、終業時刻を守らせるようにするのは簡単だ。終業時刻を過ぎて会社にいることを遅刻ということにすればいい。