政治家は政策を勉強すべきなのか。
良い政策を実現するのが政治家の仕事だとすれば、政策を勉強するのは当然かもしれない。政策を勉強しなければ、何が良い政策か判断できないから。
しかし、政策を実現できなければ、いくら政策を勉強しても意味がない。
政策内容の理解力と、政策の実現能力は別の能力だ。
そして、この二つは両立しないにちがいない。
このことをよく理解しているのは、郵政省をぶっ壊すの合言葉の下に、郵政族その他の強力な反対を押し切って郵政民営化を成し遂げ、圧倒的な政策実現能力を見せつけた小泉純一郎だ。
政治家は、メッセージが弱くなるから、勉強すべきでないし、議論すべきでもない、直感でいく方がいいというのが小泉の持論であった。
確かに、道路公団民営化の時に小泉とかかわった田中昭一は、小泉は委員会の議論を理解していないし、関心も持っていない、「分かった」を連発するが、分かってはいないと批判している。
小沢一郎も、小泉とは議論が成り立たない、何を質問しているかを正確に理解できていないし、理解しようともしていない、と国会の代表質問で批判している。
勉強しないから、メッセージが強くなった。ひいては郵政民営化につながったのだ。
他方、橋下知事が、都構想で敗北したのは、都構想の内容に関わりすぎ、メッセージを弱くしてしまったからにちがいない。住民投票というメッセージの強さが一番必要とされるところで、都構想の内容を説明させろとばかり言っていた。弁護士だけに小泉のようにあほになれなかったのかもしれない。
政治家は、政策内容か、実現力かのジレンマに立たされている。