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ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

中華思想のルーツは 『史記』

権力の構造 (史記)

権力の構造 (史記)

 

本書は、史記のうち、漢の統一後、高祖の跡継ぎ騒動から最後までを扱う。呂氏が権力を握った時代、呂氏が廃され文帝が即位し、景帝の時代の呉楚七国の乱を経て、武帝に至る。白文、書き下し分、平易な訳とそろっている。

 

その時期の中国の様子が簡単に解説してある。武帝の時代に道家哲学をやめ、儒教を採用したということなのだが、この時期の儒教は、神仙思想と結構混淆していたらしい。こういうのをやめさせるために天命思想ができたようなのだが、なんだかんだで、神仙思想は、中国の土着信仰だけあって根強いようだ。

 

また、武帝の時代から、中国の朝鮮支配、西域拡大が始まる。中国のこの伝統は、漢の武帝から始まったらしい。この拡張政策を思想面から促したのが、儒教のスペシャリスト董仲舒。天命は天子が受ける、そして、万民は天子から命を受ける、という思想を開陳したのだ。武帝は、天子の徳を全世界に行き渡らせ、世界を中華世界に一元化しようという考えた。四方八方へ軍の派遣には、こういう影響もをあったようだ。

 

竹島やら尖閣やらが取り上げられるようになって、中華思想とか小中華とかよく聞くようになったが、そのルーツはどこにあるのか。中華思想とは、ざっくりといって、中国が世界の中心で遠くなるほど野蛮になるという思想だ。中華を世界に広げようといった拡張主義も、中華思想の一部と言っていいのかは知らないが、それを含めて中華思想の完成態だとすると、武帝の時代に中華思想の完成態が実行に移されたということなのか。