ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

なぜ日本人は新しいものがいいのか 『古事記誕生』

 

古事記誕生 (中公新書)

古事記誕生 (中公新書)

 

 

本書は、新しい日本像を求めて、古事記の神話を研究する。日本は、西洋的あるいは中国的な合理主義的思考をする文化というより、大昔からのムラのアニミズム文化であり、現代においてはこれをきちんと意識しないと、明治以降のファシズムみたいな、おかしなことになるよという。

そんな古事記の岩屋戸神話では、暴れて田んぼを壊したスサノオを天照がかばうところから始まる。田んぼが素晴らしいから嫉妬してのことでしょう、と。

この部分は、「地矣阿多良斯登許曾」と書く。「ところをあたらしとこそ」と読むらしい。「あたらし」は古語で、「立派だ」「素晴らしい」「惜しい」とかの意味である。

尚、現代語の「あたらし」は、「あらたし」が転化してできた。

つまり、新しいと、立派・素晴らしいが、同一化したのだ。ここから新しいものは素晴らしいということになり、そして、そんなものはもう古い、というように、古いがダメ、間違い、悪いということになったにちがいない。新しい日本像という言葉も、単に新旧だけでなく、正しいといったプラス評価が含意されているのだ。