- 作者: イェーリング,Rudolf Von Jhering,村上淳一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1982/10/16
- メディア: 文庫
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日本は法治国家であると言われたり、法の支配があったりするといわれるが、そうでもないと言われたりする。法治国家とか法の支配とかは、西洋から移植したものだが、ちゃんと移植できてるのか。
西洋の法学者である本書は、権利がないということは、獣、奴隷、家畜と同じということ、人格が否定されているということだという。万難を排して権利を回復しなければならない。損害額の大小ではない。人格とは比較考量できない。損害額が小さいから権利が否定されてもまあよい、というものではないらしい。
では、権利はどのように実現されるのか。大いなる理性の力がはたらいて勝手に権利が実現されるというようなことはない。権利のためにたたかわなければならない。闘争とは、法のもっとも本質的な内在的要素だという。
ところで日本では、和を尊ぶ。ケンカすれば両成敗。ごたごたがあったらどちらが悪いかはともかく、両方の顔を立てて丸く収めなければならない。少々のことなら人格云々は問わない。我慢して仲直りしなければならない。
つまるところ、日本は闘争よりも人格よりも和を尊び、西洋は和よりも人格のために闘うということか。和解よりも人格であり闘争であるというのが法の支配のための条件であれば、和解重視社会では、法の支配は無理ということになる。