ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

2013-01-01から1年間の記事一覧

「自然」と「天然」をもっとうまく使いこなそう 『翻訳語成立事情』

翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189)作者: 柳父章出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/04/20メディア: 新書購入: 16人 クリック: 66回この商品を含むブログ (49件) を見る 本書は、翻訳語が織りなす悲喜劇を描く。「個人」、「社会」、「権利」など合計10…

戚夫人と浅野長矩から人の評判を考える

戚夫人とは、漢の高祖の側室で、歌と踊りがうまく、高祖の寵愛を受けた人だ。高祖の死後に高祖の正室の呂雉に手足を切られ便所に捨てられたとかいう人ブタ事件が有名で、呂雉からとんでもなくひどいことされたかわいそうな人という扱いを受けているような気…

フリクションから少ペーパー社会

パイロット フリクションボール 0.5mm ブルー出版社/メーカー: パイロットメディア: この商品を含むブログを見る カンブリア宮殿でパイロットのフリクションを扱っていた。60度以上になると無色透明になるインクを使い、ペンの頭についたラバーで消したい部…

中華思想のルーツは 『史記』

権力の構造 (史記)作者: 司馬遷,大石智良,丹羽隼兵出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 1988/03メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 本書は、史記のうち、漢の統一後、高祖の跡継ぎ騒動から最後までを扱う。呂氏が権力を握った時代、呂氏が廃され文帝…

尖閣忠臣蔵

DVD

忠臣蔵 [DVD]出版社/メーカー: 角川映画発売日: 2004/12/10メディア: DVD クリック: 50回この商品を含むブログ (7件) を見る 長年支持されてきた忠臣蔵には、日本人の心性や倫理観の原風景みたいなものが現れているのではないだろうか。忠臣蔵とは、浅野長矩…

便利なコンビニは何が便利なのか

20年後のリテールを考えてみよう 本ブログは、スーパーとコンビニを比較する。コンビニの方が、距離が近いし、店舗がコンパクトだ。特にブログで強調されているのは店舗の広さだ。毎日の決まったものを買うのには、スーパーでは広すぎて移動が大変なのだ。…

「宇多田ヒカル」を考える:秋葉原と宇多田

秋葉原は「アキバ」と呼ばれるが、これは、「原」を省略し前2文字の「秋葉」を「アキバ」と呼んでいるのだろうか、それとも「アキハバラ」の1文字目と2文字目と4文字目をとっているのだろうか。 正解は知らないが、秋葉原はもともと「秋葉ヶ原」(アキバ…

漢字は日本にこそ似つかわしい  『漢字』

漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)作者: 白川静出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1970/04/25メディア: 新書購入: 12人 クリック: 68回この商品を含むブログ (41件) を見る 日中関係がにぎわっているので、ひとつ漢字から日中の異同を考えてみよう。漢字は…

体罰問題紛糾の原因 体罰の定義とその無用性

体罰の是非が問われているが、「体罰」という言葉の理解の相違が無用の混乱を招く一因になっているので、この言葉の定義について考えたい。結論は、体罰の是非を検討するには、むしろこの言葉は使わない方がよいというものだ。 まず、ここでいう体罰を、教師…

なぜ日本人は市場原理を嫌うのか 『福翁自伝』

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)作者: 福沢諭吉,富田正文出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1978/10メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 95回この商品を含むブログ (120件) を見る 日本には反資本主義の精神が底流している。とするならば何が原因か、という問題であ…

「女子」の意味 『婦人・女性・おんな』

婦人・女性・おんな―女性史の問い (岩波新書)作者: 鹿野政直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/02/20メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 本書は、女性史を描くとともに、女性史という分野がどうあるべきかを考える。政治運動の歴史をメイ…

バイリンガルはどのように考えるのか 『ことばと思考』

ことばと思考 (岩波新書)作者: 今井むつみ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/10/21メディア: 新書購入: 22人 クリック: 114回この商品を含むブログ (40件) を見る ものを考えるとき、言葉で考えている。ということは、言葉がかわれば思考も変わるのか。…

日本型フェミニズムの正体 『不惑のフェミニズム』

不惑のフェミニズム (岩波現代文庫)作者: 上野千鶴子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/05/18メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 47回この商品を含むブログ (9件) を見る 本書は、著者が1980年代から今に至るまでに一般向けに書いた記事を集めた、戦い…

安倍晋三は何を考えているのか 『美しい国へ』

美しい国へ (文春新書)作者: 安倍晋三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 113回この商品を含むブログ (278件) を見る だれが書いたか知らないが、安倍晋三が再登板したので読み直してみた。今注目されているのは、…

缶コーヒーはなぜ甘いのか 『缶コーヒー職人』

日本もそうだったが、途上国ではコーヒーは甘く、先進国化するにつれ苦くなるという話がある。確かにそうだと思っていたが、これを主張した所長サンが正月に日本に帰ってきて、缶コーヒーを飲み、日本のコーヒーも甘かったと仰天されている。外国暮らしが長…

反原発でない者はエコノミックアニマルか 『「エコノミックアニマル」は褒め言葉だった』

「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)(2004/09)多賀 敏行商品詳細を見る経済活動ばかりに明け暮れる日本人を揶揄する言葉に「エコノミック・アニマル」がある。 原発事故があったのに原発に反対しないなんて未だに日…

肌色人種社会で起きる青のブルー化 『日本語と外国語』

日本語と外国語 (岩波新書)(1990/01/22)鈴木 孝夫商品詳細を見る 本書は、日本語と外国語(英語、フランス語、ドイツ語など)を比較しつつ、外国語を理解するには、その文化と認識枠組みを知らなければならないということを述べる。色の例を挙げる。 色の範…