ynkby's blog

正しく考えるというのは難しい

九条を考えるために再軍備論の原点にもどってみる 『再軍備とナショナリズム』

再軍備とナショナリズム (講談社学術文庫)作者: 大嶽秀夫出版社/メーカー: 講談社発売日: 2005/12/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (13件) を見る 戦後間もない頃に再軍備は否定されてしまった。そして、再軍備派は軍国主義復…

JR、JP、TPP 『自由主義的改革の時代』

自由主義的改革の時代―1980年代前期の日本政治 (中公叢書)作者: 大嶽秀夫出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1994/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る もはや現代の政治を考えるのに保革対立という図式は使えなくなっているのだが、それ…

敗戦の原因は自動車  『世界自動車産業の興亡』

世界自動車産業の興亡 (講談社現代新書)作者: 下川浩一出版社/メーカー: 講談社発売日: 1992/02メディア: 新書この商品を含むブログを見る アメリカと言えば物量作戦だ。これを可能にしたものはなんだろう。資源量だろうか。確かに日本は資源のない国で、戦…

三菱自動車という会社 『中古車がみるみる欲しくなる!』

中古車がみるみる欲しくなる!作者: テリー伊藤,清水草一出版社/メーカー: ロコモーションパブリッシング発売日: 2005/10/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (8件) を見る 本書は、2005年の中古車をめぐる2人のおしゃべりだ。…

避難の基準はQOLで 『放射線医が語る被ばくと発がんの真実』

放射線医が語る被ばくと発がんの真実 (ベスト新書)作者: 中川恵一出版社/メーカー: ベストセラーズ発売日: 2012/01/07メディア: 新書購入: 3人 クリック: 255回この商品を含むブログ (11件) を見る 東日本大震災で原発事故が起こった。本書は、その後の日本…

基礎研究は何の役に立つのかという人に創造性はない 『TLOとライセンス・アソシエイト』

TLOとライセンス・アソシエイト―新産業創生のキーマンたち作者: 渡部俊也,隅蔵康一出版社/メーカー: ビーケイシー発売日: 2002/04メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 本書は、TLOが日本にできる過程を追っていく。TLOとは、技…

差別語の何に不快になるのか 『差別表現の検証』

差別表現の検証―マスメディアの現場から作者: 西尾秀和出版社/メーカー: 講談社発売日: 2001/02メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る 本書は、メディアの差別表現への対応状況についてどうあるべきか、そして、個々の表現につい…

かわいい化する日本 『間違えっぱなしのクルマ選び〈2005年版〉』

間違えっぱなしのクルマ選び〈2005年版〉作者: 清水草一,テリー伊藤出版社/メーカー: ロコモーションパブリッシング発売日: 2005/04/26メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 本書は、著者らが独特の価…

「たらちね」は垂れ乳ではない 『古代日本の月信仰と再生思想』

[asin:486182205X:detail] 本書は、元来日本にあったのは太陽信仰ではなく月信仰だとし、日本の神話や文化を太陽信仰の観点から解釈しようとする者を太陽信仰至上主義と言って切って捨てる。 もともと海洋民族だったことからしても太陽よりも月なのだ。海の…

記紀神話を超える 『古墳時代の埋葬原理と親族構造』

古墳時代の埋葬原理と親族構造作者: 清家章出版社/メーカー: 大阪大学出版会発売日: 2010/01/15メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 日本の文化に興味を持つ者として、男尊女卑とか男系女系には関心が向いてしまう。 本書は、古墳の調査を通じて、当…

残虐の文化:南極物語、かわいそうな象、安楽死 『言葉でたたかう技術』

言葉でたたかう技術作者: 加藤 恭子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/12/07メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 9人 クリック: 67回この商品を含むブログ (15件) を見る 金のない中アメリカへ行き、メイドやらなんやらを続けながら勉強を続けたとい…

「自然」と「天然」をもっとうまく使いこなそう 『翻訳語成立事情』

翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189)作者: 柳父章出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1982/04/20メディア: 新書購入: 16人 クリック: 66回この商品を含むブログ (49件) を見る 本書は、翻訳語が織りなす悲喜劇を描く。「個人」、「社会」、「権利」など合計10…

戚夫人と浅野長矩から人の評判を考える

戚夫人とは、漢の高祖の側室で、歌と踊りがうまく、高祖の寵愛を受けた人だ。高祖の死後に高祖の正室の呂雉に手足を切られ便所に捨てられたとかいう人ブタ事件が有名で、呂雉からとんでもなくひどいことされたかわいそうな人という扱いを受けているような気…

フリクションから少ペーパー社会

パイロット フリクションボール 0.5mm ブルー出版社/メーカー: パイロットメディア: この商品を含むブログを見る カンブリア宮殿でパイロットのフリクションを扱っていた。60度以上になると無色透明になるインクを使い、ペンの頭についたラバーで消したい部…

中華思想のルーツは 『史記』

権力の構造 (史記)作者: 司馬遷,大石智良,丹羽隼兵出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 1988/03メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 本書は、史記のうち、漢の統一後、高祖の跡継ぎ騒動から最後までを扱う。呂氏が権力を握った時代、呂氏が廃され文帝…

尖閣忠臣蔵

DVD

忠臣蔵 [DVD]出版社/メーカー: 角川映画発売日: 2004/12/10メディア: DVD クリック: 50回この商品を含むブログ (7件) を見る 長年支持されてきた忠臣蔵には、日本人の心性や倫理観の原風景みたいなものが現れているのではないだろうか。忠臣蔵とは、浅野長矩…

便利なコンビニは何が便利なのか

20年後のリテールを考えてみよう 本ブログは、スーパーとコンビニを比較する。コンビニの方が、距離が近いし、店舗がコンパクトだ。特にブログで強調されているのは店舗の広さだ。毎日の決まったものを買うのには、スーパーでは広すぎて移動が大変なのだ。…

「宇多田ヒカル」を考える:秋葉原と宇多田

秋葉原は「アキバ」と呼ばれるが、これは、「原」を省略し前2文字の「秋葉」を「アキバ」と呼んでいるのだろうか、それとも「アキハバラ」の1文字目と2文字目と4文字目をとっているのだろうか。 正解は知らないが、秋葉原はもともと「秋葉ヶ原」(アキバ…

漢字は日本にこそ似つかわしい  『漢字』

漢字―生い立ちとその背景 (岩波新書)作者: 白川静出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1970/04/25メディア: 新書購入: 12人 クリック: 68回この商品を含むブログ (41件) を見る 日中関係がにぎわっているので、ひとつ漢字から日中の異同を考えてみよう。漢字は…

体罰問題紛糾の原因 体罰の定義とその無用性

体罰の是非が問われているが、「体罰」という言葉の理解の相違が無用の混乱を招く一因になっているので、この言葉の定義について考えたい。結論は、体罰の是非を検討するには、むしろこの言葉は使わない方がよいというものだ。 まず、ここでいう体罰を、教師…

なぜ日本人は市場原理を嫌うのか 『福翁自伝』

新訂 福翁自伝 (岩波文庫)作者: 福沢諭吉,富田正文出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1978/10メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 95回この商品を含むブログ (120件) を見る 日本には反資本主義の精神が底流している。とするならば何が原因か、という問題であ…

「女子」の意味 『婦人・女性・おんな』

婦人・女性・おんな―女性史の問い (岩波新書)作者: 鹿野政直出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/02/20メディア: 新書この商品を含むブログ (1件) を見る 本書は、女性史を描くとともに、女性史という分野がどうあるべきかを考える。政治運動の歴史をメイ…

バイリンガルはどのように考えるのか 『ことばと思考』

ことばと思考 (岩波新書)作者: 今井むつみ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/10/21メディア: 新書購入: 22人 クリック: 114回この商品を含むブログ (40件) を見る ものを考えるとき、言葉で考えている。ということは、言葉がかわれば思考も変わるのか。…

日本型フェミニズムの正体 『不惑のフェミニズム』

不惑のフェミニズム (岩波現代文庫)作者: 上野千鶴子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/05/18メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 47回この商品を含むブログ (9件) を見る 本書は、著者が1980年代から今に至るまでに一般向けに書いた記事を集めた、戦い…

安倍晋三は何を考えているのか 『美しい国へ』

美しい国へ (文春新書)作者: 安倍晋三出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 113回この商品を含むブログ (278件) を見る だれが書いたか知らないが、安倍晋三が再登板したので読み直してみた。今注目されているのは、…

缶コーヒーはなぜ甘いのか 『缶コーヒー職人』

日本もそうだったが、途上国ではコーヒーは甘く、先進国化するにつれ苦くなるという話がある。確かにそうだと思っていたが、これを主張した所長サンが正月に日本に帰ってきて、缶コーヒーを飲み、日本のコーヒーも甘かったと仰天されている。外国暮らしが長…

反原発でない者はエコノミックアニマルか 『「エコノミックアニマル」は褒め言葉だった』

「エコノミック・アニマル」は褒め言葉だった―誤解と誤訳の近現代史 (新潮新書)(2004/09)多賀 敏行商品詳細を見る経済活動ばかりに明け暮れる日本人を揶揄する言葉に「エコノミック・アニマル」がある。 原発事故があったのに原発に反対しないなんて未だに日…

肌色人種社会で起きる青のブルー化 『日本語と外国語』

日本語と外国語 (岩波新書)(1990/01/22)鈴木 孝夫商品詳細を見る 本書は、日本語と外国語(英語、フランス語、ドイツ語など)を比較しつつ、外国語を理解するには、その文化と認識枠組みを知らなければならないということを述べる。色の例を挙げる。 色の範…

「自然エネルギー」について 老荘思想

世界の名著〈第4〉老子,荘子 (1968年)(1968)不明商品詳細を見る『世界の名著』はもう廃止された。(姿を変えて中央公論新社から出てる) このシリーズがすごいのは解説である。 この解説を集めて出版するのもよいのではないだろうか。 古くなったとはいえ、…

橋本省庁再編について 『日本政治の対立軸』

日本政治の対立軸―93年以降の政界再編の中で (中公新書)(1999/10)大嶽 秀夫商品詳細を見る打倒官僚の声は大きい。 橋下さんの維新もご多分に漏れず、官僚批判が激しい。 そこで、それにちなんで、橋本省庁再編を考える。橋本省庁再編はいまいち評判が芳しく…